うちの猫、にゃん太は13歳です。生まれてすぐに保護した子で、ずっと一緒に暮らしています。
にゃん太が10歳のとき(人間でいうと、50代半ばくらいと言われています)、いつもの健康診断で「おしっこに結晶が出ています」と言われました。
結晶というのは、おしっこの中にできる小さな粒のことです。大きくなると、おしっこの通り道をふさいでしまうこともあります。
でも、にゃん太は元気で、ごはんもよく食べて、トイレもいつもどおり。家族の誰も、何も気づいていませんでした。動物看護師の妻でさえ、そうでした。
「何も分からなかった。猫に多い病気の心配は、色々していたんだけどね。健康診断のおかげだよ」
猫は、腎臓やおしっこの病気が多いと言われています。そういう心配をいつもしていたプロでも、見ているだけでは気づけなかったんです。
この記事では、猫の健康診断について、
- 何をするのか
- 何歳から、年に何回受けるのか
- 費用はどれくらいか
- 元気なのに、なぜ受けるのか(わが家の実例)
- 猫が嫌がって進まないときはどうするか
をまとめます。

書いているのは初心者の私(夫)、監修は愛玩動物看護師でトリマーの妻です。
猫の健康診断では、何をするの?
動物病院によって少しずつ違いますが、猫の健康診断では、おもにこんなことをします。
- 診察・触診:体重をはかったり、体をさわって、しこりやお腹の張りがないかを見ます。心臓の音も聞きます
- 血液検査:腎臓や肝臓などが、ちゃんと働いているかがわかります
- 尿検査:おしっこに、結晶や血がまじっていないかなどを調べます
- エコー(超音波検査):お腹に機械を当てて、体の中の様子を画面で見ます
- レントゲン:胸やお腹、骨などを写して見る検査です。希望すれば撮ってもらえます
「全部やらないといけないの?」と思った方、大丈夫です。妻はこう言います。
「全部を毎回やらなくてもいいよ。その子の普段の様子を見て、先生と相談だね」
何歳から? 年に何回?
わが家では、妻の方針でこうしています。
- 7〜8歳ごろまで:年に1回
- それ以降:年に2〜3回
年をとると、体の変化が早くなります。だから、こまめに見てもらうと安心なんです。
年齢によって、気をつけたい病気も変わるそうです。
- 若いうち:おしっこのトラブル(結晶や結石)
- 年をとってきたら:腎臓や甲状腺の病気
ただ、これはあくまでわが家の目安です。回数の考え方は先生によっても違うので、かかりつけの先生と相談して決めてくださいね。

ぼくは13歳。もう年に2〜3回の組なんだにゃ。
費用はいくら?
正直に言うと、病院によって、けっこう違います。
わが家のかかりつけでは、血液検査・尿検査・エコーで3万円前後でした。でも、これはあくまで一例です。調べる検査を絞れば、そのぶん費用も変わります。
電話で聞くときに、ひとつコツがあります。「健康診断はいくらですか?」とだけ聞くと、話がかみ合わないことがあるんです。
「血液検査だけでも、いくらでも深く調べられるからね。飼い主さんが考えているのと違うこともあるから、どこからどこまでやるのか、しっかり相談だね」
「何を調べてもらうか」を先生と決めてから金額を聞くと、あとで「思っていたのと違った」となりにくいですよ。
にゃん太の尿結晶は、何の症状もないうちに見つかった

ぼく、ぜんぜん元気だったんだけどにゃ。
ここからは、わが家の話です。
にゃん太の結晶は、尿検査で見つかりました。そのあと、エコーでも詳しく見てもらいました。
何の症状も出ていないうちに見つけてもらえたので、そこから、にゃん太の暮らしが少しずつ変わっていきました。
ごはんが「療法食」になった
療法食というのは、病気や体の状態に合わせて、獣医さんの指導のもとで食べるごはんです。
にゃん太は、結晶が出たり出なかったりする子なので、先生と相談しながら、療法食を何回か変えてきました。
今は、塩分が控えめな療法食を食べています。
じつは、おしっこの療法食の中には、塩分で「水を飲みたくさせる」工夫をしているものもあります。水をたくさん飲めば、おしっこが薄くなるからです。でも、にゃん太は13歳。年をとると腎臓のことも気になるので、わが家では塩分が控えめなものを選びました。
「普通のごはんに戻してもいいかもしれない」という話もあります。でも、わざわざ戻すリスクを負わなくてもいいし、今のごはんで困っていることもない。にゃん太は何でも食べてくれるので、このまま続けています。
⚠️療法食を始めたり、やめたり、変えたりするときは、必ず獣医さんに相談してくださいね。
水をたくさん飲んでほしい
塩分が控えめなぶん、ごはんで水を飲ませる力は弱くなります。だから、そのぶん水は、たくさん飲んでほしいんです。
最初は、噴水型の給水器をいろいろ試しました。でも、にゃん太はどれも気に入ってくれませんでした。獣医さんに教わった「水にチュールを少しだけ入れる」方法も試しましたが、これも長くは続きませんでした。
にゃん太が選んだのは、蛇口から出るお湯でした。お湯といっても、熱いお湯ではなく、ぬるま湯です。
今では、飲みたくなると自分で蛇口まで行って、「出して」とおねだりします。そのときは水道代の節約なんて考えずに、ぬるま湯が出るまで待って、にゃん太が満足するまで出しっぱなしにしています。

蛇口のお湯が、いちばんおいしいんだにゃん。
歯みがきの記事で「歯のケア用の飲み水タイプは使わない」と書いたのも、同じ理由です。もし水の味が変わって飲まなくなったら、そちらのほうが困るからです。

この3年間のわが家の暮らし方は、全部あの日の健康診断から始まりました。
「毎日よく見る」と「検査」は、別の仕事
このブログでは、いつも「毎日よく見てあげてください」と書いています。それは今も変わりません。
でも、おしっこの中の結晶は、どれだけ毎日見ていても、目では見えません。
毎日見ることと、検査することは、別の仕事なんです。
じつは、以前一緒に暮らしていたシェルティー(犬)のはるも、8歳のときの検査で「高脂血症(血液の中の脂が多くなる病気)」が見つかりました。はるにも、症状はありませんでした。
2匹とも、早く見つかったから、療法食で上手に付き合っていくことができたんだと思います。
猫が嫌がって、検査が進まないときは?
猫は、口をさわられたり、手をつかまれたり、体を押さえられたりするのが苦手な子が多いです。
「病院でも、その子のその日の状態で『触診だけ』『血液検査まで』『エコーやレントゲンまでいけた』ってなるんだよ」
ですから、1回で全部終わらないこともあります。
じつは私、最初はこう思っていました。「無理をしないで途中で止めてくれる先生は、猫のことを考えてくれる、信頼できる先生だ」と。
ところが、妻に話したら「何を言ってるのかわからない」と言われてしまいました。
「それは信頼じゃないのよ。危機管理、リスク管理なの。そもそも猫は無理ができないのよ。本気で嫌がりだしたら押さえていられないし」
猫はパニックになると、体に大きな負担がかかり、最悪の場合、命に関わることもあります。だから途中で止めるのは、先生の優しさというより、猫を守るための当たり前のことなんです。
それに、飼い主は診察室の中の様子を見ることができません。全部の検査が終わって帰ってきても、おとなしくしていたのか、嫌がっていたのか、がんばって我慢していたのかはわかりません。
「だから、『今日はここまでしかできなかったんだ』って考えればいいのよ」
正直に言うと、私はこの話を聞くまで、猫に無理をさせることの危なさを、ちゃんとわかっていませんでした。もし「忙しいから1回で全部やってほしい」と思ったことがある人がいても、それはきっと、知らなかっただけだと思います。私もそうでしたから。
もうひとつ。病院で「飼い主さん、体を支えていてもらえますか?」とお願いされることがあります。動かないように、やさしく、でもしっかりと支えることで、病院では「保定(ほてい)」と呼ばれています。
これも、先生や看護師さんが下手だからではありません。飼い主さんが保定することで猫が少しでも安心して、パニックにならずに検査を受けられるようにです。

病院は、やっぱりちょっと苦手だにゃ~。
家でできる準備は「毎日さわること」
では、家では何ができるのか。
いちばん大事なのは、毎日さわってあげることだと妻は言います。
毎日さわられている猫は、病院でもさわらせてくれやすい。さわらせてくれれば、受けられる検査も増える。つまり、毎日のなでなでが、そのまま「受けられる検査の範囲」を広げてくれるんです。
私は今、にゃん太の歯みがきに挑戦しています。そのとき、にゃん太の体をやさしく支える練習もしています。これは歯のためだけじゃなく、病院で保定をお願いされたときにも役に立つはずです。
それに、毎日さわっていると、ちょっとした変化にも気づけるようになります。
たとえば私は、歯みがきを始めてから、にゃん太が吐く回数をちゃんと数えるようになりました。今は2か月で3回くらい。以前から「このくらいかな」という感覚はあったのですが、数えるようになって、はっきりしました。
もし急に回数が増えたら、それが先生に伝えるサインになります。こういうことをメモしておくと、健康診断のときに先生に伝えやすくなりますよ。

なでなでは、毎日してほしいにゃん。
猫の「なりやすい病気」を知っておく
妻がもうひとつ教えてくれたことがあります。
「何も身構えないより、その子の種類によって『こういう病気になりやすい』を知っておくといいかもね」
猫なら、腎臓の病気やおしっこのトラブルが多いと言われています。
にゃん太も、そうでした。猫はおしっこのトラブルが多いと知っていたので、もしものときのことを考えて、途中から療法食の種類が多いメーカーのごはんに切り替えていました。
だから、結晶が見つかったときも、同じメーカーの療法食の中から選ぶことができました。そのあと、先生と相談しながら何回か変えたときも、選べる種類が多くて助かりました。まさに、こういうときのための切り替えでした。
はる太のときも、同じでした。「シェルティーは高脂血症になりやすい」と知っていたので、同じように療法食の種類が多いメーカーのごはんに切り替えていました。そして、実際にその病気になりました。
知っていたから、慌てずに済みました。
今一緒に暮らしているミディアムプードル(犬)のく~太は、特に耳に気をつけています。プードルは耳の中にも毛が生えていて、蒸れやすいと言われているからです。小さいころは膿皮症(皮膚で細菌が増えてしまう病気)になったこともあって、皮膚も気にかけてきました。今のところ、大きな病気はしていません。
元気なうちに受けるのが、健康診断
- 猫の健康診断では、触診・血液検査・尿検査・エコーなどをする。全部を毎回やる必要はない
- わが家の目安は、7〜8歳ごろまで年1回、それ以降は年2〜3回。かかりつけの先生と相談を
- 費用は病院によって違う。「どこまで調べるか」を相談してから聞く
- 猫が嫌がったら、1回で終わらなくていい。「今日はここまでだった」と受け止める
- 家では、毎日さわること。気づいたことはメモしておく
にゃん太の結晶は、元気なうちに見つかりました。見つかったのが早かったから、ごはんや水のことを、落ち着いて選んでくることができました。
健康診断は、元気なうちに受けるものです。
にゃん太は今日も、蛇口の前でおねだりしています。
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