「うちは室内飼いだし、お散歩も近所だけ。ノミやマダニなんて関係ないよね」——そう思っている方、いませんか。
実をいうと私は、そういうことすら考えたことがありませんでした。わが家は妻がぜんぶやってくれているので、「そういうものなんだな」と深く考えもせずに来たんです。でも今回、動物看護師でトリマーの妻に改めて聞いてみたら、返ってきたのは「予防しない理由がない」という、いつになくはっきりした答え。
この記事では、ノミ・マダニ・フィラリアの違いと怖さ、予防薬のタイプ、そしていちばん大事な「検査してから」の話を、妻への取材とわが家の実体験でまとめます。

ノミ・マダニ・フィラリア、それぞれ何者?
まず、3つはぜんぶ別物です。ざっくり整理すると——
| どうやってうつる? | 何が怖い? | |
|---|---|---|
| ノミ | 草むら・他の動物から | かゆみ・皮膚炎・貧血 |
| マダニ | 草むらに潜んで待ち伏せ | 人にもうつる感染症を運ぶ |
| フィラリア | 蚊に刺されて | 心臓に寄生し、命に関わる |
それぞれの「怖さ」——現場を知る妻に聞いた
ノミは「かゆいだけ」ではありません。ノミアレルギー性皮膚炎の原因になり、人も噛まれます。そして大量に寄生されると貧血で命を落とすことさえある——妻は病院時代、ノミの大量寄生による貧血で亡くなった猫を実際に見たことがあるそうです。弱った子ほどノミは増えやすく、悪循環になるのだと。
ちなみにトリミングサロンでは、ノミがいた時点でお断りになるのが普通だそうです。予防は、サロンやドッグランなど「みんなの場所」を使うためのマナーでもあるんですね。
マダニの怖さは、犬だけの問題じゃないこと。SFTS(重症熱性血小板減少症候群)など、人にもうつる感染症を運びます。つまりマダニ予防は、うちの子のためであると同時に、家族を守る話でもあります。
フィラリアは蚊が運ぶ寄生虫で、犬の心臓や肺の血管に住みつきます。そして一番厄介なのは——症状が出た時には、もう進行していること。咳が出る、お腹に水がたまる。そうなってから気づくのでは遅いのです。だから「かかってから治す」ではなく「かからないよう予防する」一択なんですね。
室内飼いでも必要?
必要です。理由はシンプルで、虫のほうから入ってくるから。
- ノミやマダニは、人の服や靴にくっついて家に入ってきます
- ベランダや庭にも潜んでいることがあります
- そして犬は、お散歩で外に出ますよね
「うちは大丈夫」と思っている家にこそ、予防の価値があります。
予防薬のタイプと、わが家の使い分け
予防薬にはいくつかタイプがあります。
- スポットタイプ——首の後ろに垂らす液体。手軽さが魅力
- 食べるタイプ——おやつ感覚や錠剤。皮膚が敏感な子に
- 注射——フィラリア予防で使われることがあります
- 合剤——ノミ・マダニ・フィラリアをまとめて1つで対策できるタイプも
ここで、わが家の実例をひとつ。はるはスポットタイプ、く~は食べるタイプを使っています。なぜ違うかというと——く~はスポットタイプだと皮膚を痒がったから。同じ家の犬でも、合う薬は違うんです。どのタイプがその子に合うかは、病院で相談しながら決めるのが確実です。

ぼくのは首の後ろがひんやりするタイプだったわん。

ぼくはおやつタイプ!お薬なのに得した気分~。
いつからいつまで?——わが家は通年
- フィラリアは蚊の活動時期に合わせるのが基本で、春から秋が中心。ただし地域で蚊の時期は違います
- ノミ・マダニは気温が上がると活発になりますが、室内は冬でも暖かいため、通年予防をすすめる考え方が増えています
わが家は、通年です。「今月は大丈夫かな?」と毎月考えるより、切らさず続けるほうが、忘れもリスクもないからです。始める時期と続け方は、地域の事情も含めてかかりつけの先生に相談してみてください。
フィラリアの薬は「検査してから」——この記事でいちばん伝えたいこと
ここだけは、どうか覚えて帰ってください。
フィラリアの予防薬は、すでに感染している犬に飲ませると、重い副作用が出ることがあります。アレルギー反応やショック症状——命に関わることもあるそうです。
だから病院では、薬を出す前に血液検査でフィラリアに感染していないことを確認します。「検査→処方」はセットであり、順番なんです。
逆に言うと——ネット通販などで検査なしに薬だけ手に入れて飲ませるのは、もし感染していた場合のリスクを、誰にも確認してもらえないまま背負うということ。妻もここは、はっきり「検査してから処方。そうじゃなきゃいけない」と言っていました。
春が来たら、まず病院で検査。これがフィラリア予防のスタートラインです。
マダニを見つけたら——自分で取らないで
もし愛犬にマダニがくっついていたら、引っこ抜きたくなる気持ちをぐっとこらえて、そのまま病院へ。マダニは皮膚に口を突き刺して食いついているので、無理に取ると口の部分が皮膚に残ってしまうんです。
「じゃあ散歩のたびに全身チェックしなきゃいけないの?」と妻に聞いたら、意外な答えが返ってきました。
「特別なチェックタイムは作ってないよ。マダニがいそうな場所を避けてるし、そのための予防薬だから。それより——普段からたくさん撫でて、触って、ブラッシングして。それで気づくから」
検査のように構えるのではなく、毎日のふれあいがそのまま健康チェックになる。ブラッシングの記事で書いた「体を知る時間」と、まったく同じ答えでした。

※山や草深い場所に出かけた日は、さすがに別。耳のまわり・内股・指の間など、毛の薄いところを見てあげてください。
市販の薬と病院の薬、何が違う?
ホームセンターにも「ノミ・マダニ用」の商品は並んでいますよね。妻に違いを聞くと——
- 効果と安全性は病院の処方薬のほうが上。使い方や注意点も、その子に合わせてきちんと説明してもらえる
- 病院なら合剤(ノミ・マダニ・フィラリアを1つで)という選択肢もある
- 市販品は自己判断になるぶん、合わない・効かない・使い方を誤るリスクがある
- そしてフィラリアの薬は、そもそも動物病院でしか手に入りません(検査とセットだから、ですね)
費用の話と、「病院で買う」ということ
気になるお値段は——正直、一概に言えません。体重(大きい子ほど高め)×薬のタイプ(単剤か合剤か)×病院で変わるからです。だから「◯円です」ではなく、「何で変わるか」を知った上で、かかりつけで見積もってもらうのが確実です。
そして最後に、わが家の考え方をひとつだけ。予防薬は、探せばもっと安く手に入る場所があるかもしれません。それでもわが家は、日頃お世話になっているかかりつけの病院で買うと決めています。それが病院の健全な経営をほんの少し支えて、いざという時に頼れる場所がそこにあり続けることにつながる——巡り巡って、うちの子と私たちの安心に返ってくると思うからです。

猫はどうなの?
猫は犬と事情がだいぶ違います。生活環境で必要性が変わりますし、猫は薬に敏感な動物なので、市販薬を気軽に使うのはおすすめできません。この記事は犬のお話に絞りましたので、猫のノミ・マダニ対策は、その子の環境と合わせてかかりつけの先生に相談してみてください。

ぼくたち猫の話は、また今度だにゃ~。
予防って、「何も起きない毎日」を買うことなんですよね。目に見える成果がないから忘れそうになるけれど、咳ひとつしない、かゆがりもしない、いつも通りの寝顔——それこそが予防の成果です。春が来たら検査、そして予防。「うちは大丈夫」と思った時が、始めどきです。


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