犬のごはんを、途中で変えてもいいのか。
私はずっと、変えないほうがいいものだと思っていました。一度その子に合うものを見つけたら、あとはそれを続ける。そういうものだと。
でも、わが家の犬たちのごはんを用意しているのは妻です。動物看護師でトリマーの妻は、フードを変えながらあげています。
「え、いいの?」と思って聞いてみたら——昔と今で、言われていることが正反対になっていたと知りました。
この記事を読むとわかること
- なぜ、フードを変えながらあげるのか
- 昔は「変えるな」と言われていたこと
- わが家の犬猫3匹が、実際に食べてきたもの
- 「いいごはん」の常識が、この50年でどう変わったか

わが家は、フードを変えながらあげています
わが家の犬、く~のごはんは、アカナとオリジンを併用しています。そしてその2つの中で、主原料を変えながらあげています。魚が主原料のものを食べたら、次は別のもの、というふうに。
私はてっきり「飽きるから」だと思っていました。でも、理由はまったく違いました。
「例えば、チキンばかりあげてると、チキンアレルギーになったりするからね」
同じたんぱく源をずっと食べ続けることが、アレルギーにつながることがある。 だから、変える。
そして妻は、こうも付け加えました。
「安いフードは、チキンと穀物で作られてることが多いから注意ね。でも、チキン自体は優良タンパク質。それを間違わないこと」
「チキンが悪い」という話ではない——ここは、はっきり言われました。
ただし、「何でも回す」ではありません
ここで、大事なことがあります。
わが家がローテーションしているのは、アカナとオリジンの中だけです。まったく別のタイプのフードを、次々に試しているわけではありません。
以前、もっと動物性のたんぱく質が多い、いわゆる「濃い」フードを試したことがありました。でも く~は、それだとお腹をくだしてしまうんです。
つまり——その子に合う”濃さ”の範囲があって、その中で回している、ということでした。
調べてみると、ローテーションで大事なのは「飽きさせないこと」よりも、急に栄養の濃さや脂肪の量を変えすぎないことだとありました。調べてみると、ローテーションで大事なのは「飽きさせないこと」よりも、急に栄養の濃さや脂肪の量を変えすぎないことだとありました。
私は「同じメーカーの中で回しているのには意味があるんだろうな」としか見えていませんでしたが、そこにはちゃんと理由がありました。妻は、それを分かったうえでやっていたわけです。
「ローテーションがいいらしい」と聞いて、いきなり全然違うフードを混ぜるのは、たぶん違うのだと思います。
でも昔は、「変えるな」と言われていた
そのローテーションの話をしていたとき、妻がふと言いました。
「これも歴史っていうか、流れがあってね」
「前は”一回あげたごはんは、最後まで変えちゃだめだ”って言われてたんだよ」
理由も、ちゃんとあったそうです。
- ころころ変えると、体調管理が難しくなる
- 何か疾患が出たとき、原因を突き止めにくくなる
- 切り替えのたびに、下痢などのリスクがある
- 総合栄養食なら、それだけで足りているのだから
……全部、もっともでしょう。
そして今は、アレルギー対策や、栄養素を少しでも満たしやすくするために、ローテーションが勧められるようになった。
言っていることが、正反対です。
でも、どちらにも理屈がある。どちらかが間違っていたわけでもない。
わが家の3匹は、こんなごはんを食べてきました
せっかくなので、うちの子たちの遍歴を書いておきます。
はる(シェルティー)
最初は、ブリーダーさんに勧められたフードでした。
最初に迎えた犬だったので、教わったとおりに、真似から始めたという感じです。ほかにも、ブリーダーさんや訓練士さんに勧められたものを試したりもしました。
そのあと、ヒルズやロイヤルカナンに変えています。妻はこう言っていました。
「私は、ヒルズとロイヤルカナンは良いと思ってる派なんでね。療法食への切り替えもスムーズにいくし」
これが、あとで効いてきます。はるは8歳のころに高脂血症が見つかって、低脂肪の療法食に切り替えることになったからです。
(シェルティーは高脂血症になりやすい犬種だそうで、妻はそれを知っていて、療法食のラインナップが豊富なメーカーをあえて選んでいたとのことでした)
ウェットの缶詰も、手作りごはんも、いろいろ試したそうです。でも最終的には——
「ドライフードに落ち着いたね。やっぱり、手軽さと安定感」
いろいろ試したプロが、結局ドライに戻ってきた。 これは、なかなか重い一言だと思いました。
く~(プードル)
く~は、食いつきが悪く、便も緩くなりがちな子でした。
だから、何種類も試しました。最初は、けっこう値段が高く動物性タンパク質が多いフードから始めています。
そして正直に書くと——何が良くて、何がダメだったのかは、はっきり分かりません。合わなかったものもありましたが、それが銘柄のせいなのか、切り替え方なのか、時期なのか、うちには分からない。
ただ、いまはアカナとオリジンで落ち着いています。く~には、これが合った。それだけの話です。でもこれが一番大事なことだと思います。
にゃん太(猫)
にゃん太も、ヒルズやロイヤルカナンから始めました。
ウェットフードは吐いてしまうので、ドライだけです。そして10歳のときに健康診断で結石が見つかり、いまは療法食を食べています。
同じメーカーの中でも、好みはあります
く~で、こんなことがありました。
同じアカナの中でも、種類によって好みがあるんです。
魚が主原料のものはよく食べるのに、鶏や七面鳥が主原料のものになると、食いつきが落ちる。同じメーカーでも、中身が変われば、その子にとっては別のごはんなんですね。
でも、それでアカナをやめたわけではありません。
食いつきが落ちる日はあっても、最終的にはちゃんと食べます。そして便も体調も、いい状態を保てています。
ここが、私にはひとつの発見でした。
「食いつき」と「健康」は、別のものさしなんです。
パクパク食べないと、つい「合っていないのかな」と思ってしまいます。でも妻の基準は、いつも同じでした。
「まずは、食べるか。吐かないか」
好きかどうかではなく、食べるか。そして体が元気か。 そこさえ大丈夫なら、あわてて変えなくていい——ということでした。

私が子どものころ、犬のごはんは
ここからは、少し昔の話をさせてください。
50年ほど前のことです。私が子どものころ、近所で飼われていた犬は、柴犬を大きくしたような、白か茶色っぽい雑種が多かったように思います。そして多くが犬小屋で外飼いでした。
そしてごはんは——
- 大袋の、あまり高くないごはん
- 白いごはんに水をかけたもの
- 味噌汁ごはん
そういうものでした。
その後、私が小学生になったころ、ちょうどバブルの時期です。テレビで「ペディグリーチャム」のCMがバンバン流れました。
「缶詰の、ウェットタイプの、少し高いごはん。それが当たり前なんだ」
当時まだ犬を飼ったことのない子どもの私は、勝手にそう思い込みました。だって「トップブリーダーって人が推奨してるんだし」って(笑)。今も昔も、日本人はテレビの印象に弱いのだと思います。
そのあと、豊富な種類の良質なドライフードが出てきて、いまでは総合栄養食も、療法食も、犬種別・猫種別のものまであります。
⚠️ 誤解のないように書いておきますが、昔の文句を言いたいわけではありません。ペディグリーチャムが悪いものとも思っていません。
当時は、それが普通でした。 その時代の人たちも、手に入る情報の中で、その時のベストをやっていたはずです。
じゃあ今は、何に刷り込まれているんだろう
そこまで書いていて、ふと思いました。
昔の私は、テレビに刷り込まれていた。
じゃあ、今の私は?
「グレインフリーがいい」「高いほうがいい」「穀物は良くない」——そういう話を、私も見たことがあります。いまは、テレビの代わりにネットがあります。「獣医師監修」「専門家が選んだ」 ——言い方は変わっても、構造は同じかもしれません。
でも、この記事を書くために調べていると、そう単純でもないことが分かってきました。
妻も、こう言っています。
「大豆も含んでいいよ」
「穀物の割合が高いのは避けても良い、っていうだけ」
「穀物が悪い」とは、言っていないんです。
私がいま「正しい」と思っていることも、たぶん、どこかで誰かに教わったものなんだと思います。
それでも、変わらないものがある
妻の言葉を、そのまま書いておきます。
「時代は変わる。すべてにおいて同じかもしれないけど、その時その時でベストやベター、流行って変わるのよ」
「もちろん、犬や猫のごはんもね」
味噌汁ごはんの時代の人たちも、その時のベストをやっていました。缶詰が上等だと信じていた私も、その時に手に入る情報でそう思っていただけです。
昔があるから、今があります。
だとすれば——いま私たちが「正しい」と思っていることも、いつか更新されるのでしょう。
でも、それでいいんだと思います。そのときは、次の人がもっといい答えにたどり着いているということだから。
私がここに書いていることが、少しでもいつか誰かにとっての”引き継ぎ”になれば。そう思っています。
そのうえで、たぶん変わらないものを最後に置いておきます。
妻が、どの話をしていても、最後に必ず言うことです。
「まずは、食べるか。吐かないか」
「その子をよく見てあげることかなぁ」
ごはんも、道具も、常識も、流行も変わります。
でも、その子をよく見てあげることだけは、たぶんずっと変わらない。

ぼくたちのごはんは、ずいぶん変わってきたみたい。でも、飼い主さんが愛情をもってぼくたちをよく見ていてくれるのは、ずっと同じだよ。






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