ペットショップやネットでドッグフードを見ていると、いつも不思議に思っていました。
同じくらいの大きさの袋なのに、値段が全然違う。
1,000円くらいのものもあれば、6,000円を超えるものもある。同じ「ドッグフード」で、どうしてこんなに差がつくんだろう、と。
高いほうがいいのかな、とも思いました。でも、「じゃあ何が違うの?」と聞かれたら、私は何も答えられなかったんです。
その答えを、妻(動物看護師・トリマー)に教えてもらいました。
正直、拍子抜けするくらいシンプルでした。答えは「水」だったんです。

この記事を読むとわかること
- ドッグフードの値段の差は、どこから生まれているのか
- 安いフードが安く作れる理由
- 猫のフードのほうが原価は高いのに、値段が似ている理由
- 「高い=いい」とは言い切れない、うちの実例
- じゃあ、何を基準に選べばいいのか
同じドッグフードなのに、値段が全然違う
まず、私が何にモヤモヤしていたかを書いておきます。
袋の裏を見ても、書いてあるのは原材料と成分値。読んでも、正直よく分かりませんでした。「粗たんぱく質」と書かれた数字が違うのは分かる。でも、その違いが値段の何倍もの差になる理由が分からない。
だから当時の私は、いちばん雑な結論に飛びついていました。
「高いほうが、たぶんいいんだろう」
これ、けっこう危ない考え方だったんです。理由は最後に書きます。
まず、値段の差がどこから来ているのか。ここから始めます。
答えは「水」でした
妻に聞いたとき、私はまず鶏のささみで考えるように言われました。
生のささみ100gに含まれるたんぱく質は、約24gです。残りの多くは水分。
では、これを乾燥させたらどうなるか。
たんぱく質の量は増えません。水が抜けるだけです。
でも、100gあたりで見ると数字は大きく変わります。水が抜けたぶん濃縮されて、乾燥後は100gあたり45〜65gくらいになる。
ドライフードは、水分が10%以下です。つまり、カリカリを1kg作ろうとすると、生の肉はその何倍も必要になる。
ここで私は、ようやく自分で気づけました。
「じゃあ、いいお肉をたくさん使うフードは、原価がすごく高くなるんだね?」
妻の答えは、「そういうこと」でした。

水が抜けるだけ。だから、お肉がたくさん要るんだわん。
安いフードが安く作れる理由
では逆に、安いフードはどうやって安くしているのか。
大きく2つあります。
ひとつは、穀物の割合。
穀物は、もともと乾いています。乾燥させるための肉を大量に使わなくていいぶん、コストが下がる。
⚠️ ただし、穀物が悪いという話ではありません。 これは大事なところなので、はっきり書いておきます。妻も「穀物の割合が高いものは避けてもいい」とは言いますが、「穀物は悪」とは一度も言っていません。
もうひとつは、ミール(肉粉)です。
肉を加熱して粉末にしたもので、水分が少なく、たんぱく質を濃縮して配合できます。栄養設計も安定させやすい。「安価で優れたたんぱく源」と説明されることもあります。
⚠️ こちらも、ミール=粗悪品、ではありません。
ただ、袋に書かれている「何のミールなのか」は、実は読み方があります。そこは値段とは別の話なので、別の記事で書きます。
猫のフードのほうが原価は高い。なのに、袋の値段は似ている
ここで、私がいちばん驚いた話をします。
犬は雑食寄りですが、猫は肉食です。必要とする動物性の原材料の割合が高い。
ということは——猫のフードのほうが、原価は高くなるはずです。
私は素直に聞きました。
「じゃあ、猫のごはんのほうが値段が高くなるんだね?」
妻の答えは、こうでした。
「そうなんだけど、売る側は袋の値段じゃなくて『1回分のごはんの値段』で考えているから、結果として似たような値段になるのよ。猫のほうが1回の量が少ないでしょ」
体の大きさにもよりますが、猫は1回に食べる量が犬より少ない。同じ量の袋でも、猫のほうが長く保ちます。
だから、猫用のフードは、内容量を少なめにした袋で売られていることが多い。 その結果、店頭に並んでいる袋の値段は、犬用と似たところに落ち着きます。
では、1kgあたりで比べたらどうなるのか。
調べてみると、グレードが上がるほど、猫のほうが高くなるという傾向がありました。
理由は、たぶんこういうことだと思います。安いフードは、犬用も猫用も穀物などでかさ増しができます。だから差が縮む。 けれど良いフードになるほど、中身は動物性の原材料が中心になります。猫はそれを多く必要とするので、差が開いていく。
原価の差は、良いフードほど表に出てくるわけです。
⚠️ ただし、いつでもそうなるわけではありませんでした。
あるメーカーの犬用と猫用を、実際に比べてみたときの話です。
- 犬用の3kgの袋は、1kgあたり約1,500円
- もう少し大きい袋になると、1kgあたり約1,200円
- 12kgの袋になると、1kgあたり1,000円を切る
- 猫用は2.8kgの袋で、1kgあたり約1,200円
同じくらいの大きさの袋どうしなら、犬用のほうが高いか、同じくらいでした。
理由は、袋の大きさです。犬用には12kgの袋があります。大きい袋になるほど、1kgあたりの値段は下がっていきます。
もちろん、大きい袋のほうが割安になるのは、フードにかぎった話ではありません。たいていのものがそうです。
なぜ小さい袋は割高なのか。ここからは私の想像ですが、お店に置きやすくて、買いやすいのは3kgくらいまでです。買いやすいから、高くても売れるのかもしれません。
そして、猫用には、その「割高なサイズ」までしかありません。
犬なら、大きい袋を選べば1kgあたりを下げられます。猫には、その選択肢がない。
つまり——グレードでも、袋の大きさでも、値段はひっくり返ります。
だから私は、袋の値段ではなく「1kgあたりいくらか」を見るようになりました。
⚠️ ここで挙げた数字は、あるメーカーの、ある時期のものです。メーカーや商品、時期によって値段は変わります。気になったら、ご自身が買っているフードで計算してみてください。
値段って、中身だけで決まっているわけじゃなかったんです。

ぼくのごはん、少ないけど濃いんだにゃ。

高いフードは、何が「濃い」のか
高いフードが高い理由は、結局ここに集約されます。
水を抜く前の、元の材料にお金がかかっている。
動物性の原材料の割合が高い。穀物でかさ増しをしない。粉末ではなく、肉をそのまま使う。
妻が言っていたことが、この話をきれいにまとめてくれました。
「粉末にするのが合理的なのは分かるけど、でも高いフードではそうはしないよね。そういう事だと思うんだ」
そして、こう続きました。
「だから、原価にもかかわってくるよね」
合理的なやり方があることは認めている。でも、高いフードはそれをしていない。 その差が、そのまま値段になっている——という話です。
ちなみに妻は、犬用フードのひとつの目安として「粗たんぱく質28%以上」と言っています。これは法律で決まった基準ではなく、あくまで妻の目安です。
でも、「高い=いい」ではありませんでした
ここまで読むと、「じゃあ高いのを買えばいいんだ」と思いますよね。
私もそう思っていました。でも、うちで実際に起きたことは違いました。
うちのくう太(ミディアムプードル)は、アカナとオリジンを併用し、さらにその中でローテーションしています。
以前、もっと高くて、もっと濃いフードを試したことがあります。良い評判をよく聞くものでした。
結果は、お腹をくだしました。
たんぱく質が多すぎたんです。
値段でいえば上のフードです。栄養価も上です。でも、くう太には合わなかった。
さらに言えば、同じアカナの中でも差があります。魚が主原料のものから鶏や七面鳥のものに変えたら、食いつきが落ちました。
それでも、うちはアカナを続けています。最終的にくう太は食べていますし、健康も、調子の良さも保てているからです。

高いのが、ぼくに合うとはかぎらないんだよ。

じゃあ、安いフードでいいの?
ここで極端なほうに振れないように、正直に書きます。
「高いのは意味がない」という話ではありません。
妻の言葉を、そのまま載せます。
「なんだかんだ言ったけど、ごはんに『総合栄養食』と書いてあれば、とりあえず生きてはいける。そして安いごはんで健康でい続ける子もいる、でもある程度良質なごはんをあげたほうが、健康でい続ける確率は上がる」
確率、という言い方をしているところが、私は信用できると思いました。
「安いフードだと病気になる」でもないし、「高いフードなら安心」でもない。
どちらにも例外があることを分かったうえで、それでも健康の確率は上がる。 そう言っています。
⚠️ なお、「総合栄養食」と書かれていないもの(一般食・副食・おやつなど)は、それだけで毎日の主食にはなりません。ここは値段とは関係なく、先に確認したいところです。
結局、何を基準にすればいいのか
長くなったので、私なりの結論を書きます。
値段は「何を使っているか」の目安にはなる。でも「その子に合うか」の答えにはならない。
これが、この記事で私が一番言いたいことです。
水を抜くから原価が上がる。だから高い。この仕組みは事実です。
でも、うちのくう太は高いフードでお腹をくだしました。魚から鶏に変えただけで食いつきが落ちました。これも事実です。
だから、値段を考えると共に、必ずここも見続けてほしいんです。
うちの子は、これを食べて調子がいいか。
便の状態、食いつき、体重、被毛。答えを持っているのは、袋ではなく目の前の子のほうでした。

ぼくたちに聞いてね。
⚠️ この記事は、特定の商品をすすめるものではありません。持病がある子や療法食を食べている子は、フードを変える前にかかりつけの先生に相談してください。
考え方はここまでです。実際の商品は、その子や年齢に合わせて選んでみてください。





コメント