犬のスキンケア、と聞いて私が思い浮かべたのは、シャンプーでした。
あとは、最近よく見る保湿スプレーとか、皮膚にいいというシャワーヘッドとか。要するに「何かいいものを買って、洗って、塗る」。そういうイメージだったんです。
でも、動物看護師でトリマーの妻に聞いてみたら、返ってきた答えはまったく違うものでした。
この記事を読むとわかること
- スキンケアは「洗う」だけじゃないということ
- 妻が「まずこれ」と選んだ、意外な3つ
- シャンプーの頻度と、洗いすぎの話
- 保湿は必要? わが家の正直な結論
- シャワーの機械(炭酸・オゾン・ファインバブル)の違い

犬の皮膚は、赤ちゃんの肌に近い
まず前提から。
犬は全身が毛におおわれているぶん、人よりも皮膚が薄いそうです。よく「赤ちゃんの肌に例えられる」と言われます。被毛も、見た目ほど頑丈ではありません。
だから、ケアは基本的に「やさしく」。ゴシゴシ洗ったり、強くこすったりするのは、それだけで負担になります。
そして、皮膚のトラブルを抱えている子は、思ったより多いようです。妻が読んでいるJKC(ジャパンケネルクラブ)の会報には、4頭に1頭は皮膚のトラブルを抱えているとありました。
……ちなみに妻は、いまも小動物の皮膚科の専門書を買って読んでいます。翌日新しいものが届いて、早速もう開いていました。この記事の内容は、そういう人に聞いた話です。
スキンケアには、8つある
調べてみて、まず驚いたのがここでした。スキンケアと呼ばれるものは、洗うことだけじゃなかったんです。
- 洗浄 … シャンプーなどで汚れや古い角質を落とす
- 保湿 … 保湿剤を塗る・噴霧する
- 保護 … 服などで日光やホコリ、汚れから守る
- 賦活(ふかつ) … ブラッシングやマッサージで皮膚の働きを助ける
- 栄養管理 … バランスのとれた食事
- 生活改善 … 活動時間、睡眠の量と質
- 環境管理 … 生活場所の掃除、散歩コース、アレルゲンの管理
- ストレスケア … ふれあいや遊びでストレスをやわらげる
ブラッシングも、ごはんも、掃除も、遊ぶことも、ぜんぶスキンケアだった。 これは正直、意外でした。
もうひとつ意外だったのが、皮膚と腸内環境がお互いに影響し合うという話です。腸の調子が皮膚に出るのは何となく分かる気がしたのですが、皮膚のほうから腸に影響することもあるというのは、まったく知りませんでした。


ブラッシングもスキンケアだったなんて、知らなかったよ〜。
妻が選んだ「まず3つ」
8つもあると、正直「無理だな」と思いました。なので聞いてみました。初心者がまずやるなら、どれ?
返ってきた3つは、これでした。
「ちゃんとしたごはんをあげて、環境をきれいにして、適度なお散歩。これが1番」
5番の栄養管理、7番の環境管理、8番のストレスケア。
洗浄でも保湿でもなく、ごはんと、掃除と、散歩。しかも妻は、こうも言っていました。
「シャンプーしなくても肌が問題ない子もいるの。この3つをちゃんとしているだけでも、だいぶ違うよ」
スキンケアというと、どうしても「何を買うか」の話になりがちです。でも土台にあるのは、毎日の暮らしそのものだったということでした。
(ごはんについては、毛玉の記事でも妻が「食事は大事。被毛と皮膚への影響が大きい」と言っていました。ここでもつながります)

ぼくは、ごはんと、おさんぽと、きれいなおうち。それでじゅうぶんなんだわん。
「環境をきれいに」の中身は、意外でした
では「環境をきれいに」とは、具体的に何をするのか。聞いてみたら、これも予想と違いました。
- クレートや寝床は、適度な広さがあること
- 排泄する場所と、寝る場所をきちんと分けること
- 掃除機をかけること。毛布やベッドも、たまに洗うこと
- 寝床まわりの掃除は、3日に1回くらいでいい
そして、いちばん意外だったのがこれです。
「きれいにしすぎなくていい。きれいにしちゃいけないことはないけど、きれいにしすぎることはないの」
「人間も、きれいにしすぎるようになったからアレルギーが増えたって言われてるでしょ。犬にも同じ問題が、いまあるんだ」
除菌しなきゃ、と思っていたので、これは意外でした。
ただし、不潔でいいという話ではありません。汚れたままにすれば、それはそれで別のアレルギーや病気の心配が出てくる、とのことでした。きれいすぎず、汚くもなく。
お散歩が、皮膚にもいい理由
3つ目の「適度なお散歩」。これが皮膚とどうつながるのか、私にはピンときませんでした。
妻が挙げたのは、こんなことです。
- 血行がよくなる
- ストレスが減る
- 気温、天気、風景など、外からの刺激を受けられる
「人もお散歩するのと、ずっと家にいるのとでは違うでしょ」
そして、こう続きました。
「心も体も健康になれば、当然、肌も健康に保ちやすいよ」
スキンケアの話をしていたはずなのに、気づけば暮らし全体の話になっていました。でも、たぶんそれが本当のところなんだと思います。
じゃあ、シャンプーは?
もちろん、洗うことも大事です。ただ、回数が多ければいいわけではないそうです。
- 特に問題のない子 … 3〜4週間に1回くらい
- ただし 月に1回はしてほしい
- 洗ったあとはしばらく肌が乾燥するので、必要なら保湿を
「やたらとシャンプーすればいいわけじゃない」
そして、ここでも「昔と今」の違いが出てきました。
「肌に問題がある子は、前までは3日に一度の薬浴とかをしていたけど、今は”きちんと水で洗えばよい”に変わってきているの。人も、消毒よりも水できれいに洗う方向になってるでしょ」
ネットで見かける情報には、少し前の常識のまま残っているものもあるようです。現場の”いま”は、変わっていくんですね。
なお、皮膚にトラブルのある子は、1〜2週間に1回と言われることもあるそうですが、これは自分で判断しないほうがいいとのこと。まず獣医さん、そのあとトリマーさんと相談して、その子に合う頻度を決めていく形になります。


洗いすぎも、よくないんだって。ちょっと安心したわん。
保湿は、したほうがいい?
ここが、いちばん正直に書きたいところです。
保湿剤は最近とても流行っていて、皮膚科の先生も「必要だ」と言っている、と妻は前置きしました。そのうえで——
「うちはしてないよ」
理由を聞いていくと、こういうことでした。
①わが家では、効果を感じなかった
「いいと言われてやってみたけど、あまり効果は無かった。高濃度セラミドスプレーとか、評判の良いものはひと通り試したけど、イマイチだったな」
「どんなものを使ったの?」と聞いたら、答えは「色々使ったけど、もう覚えてない」。家に残っているものがひとつだけありましたが、それも「残ってるだけ」だそうです。
効果を感じたものは覚えている。感じなかったものは、記憶にも棚にも残らない。それが答えなんだろうな、と思いました。
(ただし妻は「他の子には効果があるかもしれない」とも言っています。うちで効かなかった、というだけの話です)
②く~は、いま毛を硬くしたい時期だから
保湿剤を使うと毛が柔らかくなるそうで、いまのく~には合わないとのこと。これはトリミングの都合なので、一般的な話ではありません。皮膚の状態がいいから、それができている、とも言っていました。
③やりすぎると、逆効果になることもある
人のように毎日お風呂に入って保湿、というわけにはいきません。保湿剤を塗ったところがベタついて、そこに汚れがつき、雑菌が繁殖してしまうこともあるそうです。
つまり保湿は、「やれば必ずいい」ものではなく、その子に必要かどうかの話でした。

ぼくは毛をかたくしたい時期だから、保湿はおやすみ中なんだ〜。
シャワーの機械、何が違うの?
炭酸泉、オゾン、マイクロファインバブル。トリミングサロンでよく見かけますし、家庭用のシャワーヘッドも増えてきました。何がどう違うのか、聞いてみました。
| 得意なこと | 苦手なこと | |
|---|---|---|
| 炭酸水 | 血行をよくする | 汚れ落ちには関係なし |
| オゾン水 | においが落ちる・汚れ落ちもよい | 血行には関係なし |
| マイクロファインバブル | 塩素の除去・生臭さをやわらげる | 洗浄効果は「正直よくわからない」 |
「何を求めるかで、選択肢が変わるよ」
【実体験】わが家は、オゾンを使っていて、シャワーヘッドはファインバブルです。全部そろった「クワトロ」というものもあるそうですが、手入れが大変とのことでした。
マイクロファインバブルについては、皮膚への影響を調べた研究も進んでいるようです。ただ、妻に聞くと「正直よくわからない」。実際に使っているトリマーさんの中でも、効果を実感している人と、そうでない人がいるそうです。
「トリマーさんでも分かれるところだね」
つまり、まだ「これが答え」と言える段階ではない。それが現場の正直なところなんだと思います。
トラブルが出たら、まず病院
ここは、いつもと同じ結論でした。
「異常を見つけたら、まず病院で相談する。繰り返すなら体質改善を目指すけど、そのつど病院へは行く」
白や黄色のフケが目立つようになるのは、分かりやすいサインのひとつだそうです。
そして、そのあとの流れはこうなります。
- 動物病院で、皮膚科の先生に診てもらう
- 指示に従って、家でできることをやる
- 自分では無理なことは、トリマーさんにお願いする
薬用のシャンプーやクレンジングのようなものもありますが、妻いわく「普通の人にはうまく使えるかわからない」。自己判断で始めるより、まず相談してからが確実です。

毎日ぜんぶは、たぶん無理。それでいい
最後に、妻がこう言いました。
「毎日のブラッシングとチェック、本当は毎日してほしいけど……あなた、仕事の後に毎日できる? 大変でしょ」
正直、できません。そう答えました。
妻は、8つ全部を実践してほしいのが本音だと言います。でもそのうえで「3つ選ぶなら」と、ごはん・環境・散歩を挙げてくれました。できない前提を、先に受け入れてくれているんだと思います。
もうひとつ、こうも言われました。
「今回のスキンケアは、前のシャンプーや毛玉の話もありきだからね。この記事だけで、皮膚がいい状態を保てるわけじゃないよ」
そのとおりで、ブラッシングも、シャンプーも、毛玉のことも、ぜんぶつながっています。どれかひとつでは足りない。
「飼い主さんは、色々大変なのよ」
これは本当にそうだと思います。飼う前は、こんなに大変だとは分かりませんでした。 私もそうでした。たぶん、多くの人がそうだと思います。
でも、知ってしまったからには、できることをやっていきたい。毎日ぜんぶは無理でも、ごはんと、掃除と、散歩なら。
そしてそのうちの多くは、結局のところその子にふれる時間です。ブラッシングも、マッサージも、散歩も、ストレスケアも。
スキンケアは特別な作業ではなくて、毎日の暮らしの延長にあるものだった——それが、今回いちばんの発見でした。

毎日ぜんぶは大変だわん。できることを、できるときにでいいんだわん。



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